今日はカーボンプリントのプロセスを、ごく簡単に説明したい。もしこれを読んで興味をお持ちになったら、今後も技法に関したことを綴っていくので、つづけてご覧いただきたい。また、自分でもやってみたいと思われたら、先に上げた図書やHPを活用なさることをお勧めする。(ただし、アルスの本は入手困難と思う)
 さて、次の写真を見ていただきたい。
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①はカーボンティシュとよばれる紙である。ティシュとはtissueで薄紙のこと。
 その上にカーボン(顔料)をゼラチンに溶いたものが厚く塗られている。実際には紙自体もそれほど薄いも
 のではない。
②はフィルムネガティブ。密着プリントなので等倍のネガが必要である。これはインクジェットで作ったデジ
  タルネガ。
③は画像を転写させる紙、一度の転写(単転写)で済むなら、これが仕上げのベース(final support)になる。
  ①との接着をよくするため、ゼラチンをコーティングしてある。私は未経験だが、ガラスでも可能。
④は③の上に得られる最終イメージである。

 <作業の手順>
  1. カーボンティシュを必要な大きさにカットする。←3の乾燥の後でもよい
=以下は低照明下で行う=紫外線が出ない白熱灯なら、新聞が読める程度の明るさでよい。
 2. ティシュに二クロム酸カリあるいは二クロム酸アンモニウムで感光化する。←浸漬あるいは筆塗り
 3. 感光化したティシュを乾燥させる。←強制乾燥なら冷風程度で
 4. ティシュの上にネガを重ね、取り枠にセットする。←ネガの乳剤面を接する
 5. UV照明をあて、ゼラチンを硬化させる。→ネガの濃淡に応じた硬化がおきる
 6. バットに15℃以下の冷水を用意する。
 7. カーボンティシュより大きめの③のベース紙を用意する。←必ず大きさに十分余裕をみること
 8. 冷水中にティシュとベース紙を浸け、乳剤面どうしを合わせる。←気泡が入らぬよう注意
 9. 両者を張り合わせたまま引き出し、厚板ガラスなどの平滑な台の上に置く。
10. スクィージで強く擦り、合わせ面の水分を排除する。←全面を一度に擦れること
11. そのまましばらく(15分以上)放置して癒着を待つ。←上にガラス板を置き重しを載せてもよい
12. 温水(43℃)程度をバットに用意する。←実温度は①のゼラチンの溶融条件による
=以下は明るくしてかまわない=
13. 癒着したティシュとベース紙を温水に浸け、しばらく(数分)待つ。
14. ゼラチンが十分軟化したら、水中で両者を静かに剥がす。→カーボンティシュは捨てる
15. ベース紙を静かに揺すりながら、余分なカーボンを溶かし落とす。←必要なら温水を交換
16. 十分に現像したら引き上げ、水分を切る。←拭いたり触ったりはできない
17. 吊るすか水平に置くかして乾燥させる。←温風乾燥はしない
18. 完成→波打っている場合は冷温プレス

 以上がごく基本的な作成手順である。文字にすると、これでも煩雑に見えるが、実際の作業としては比較的単純なものである。もちろん、個々のプロセスでのパラメータや技術要領は必要であり、作者それぞれのノウハウがある。
 実はカーボンプリントでもっとも大切で、かつ難しいことは、良質のカーボンティシュを作ることなのだ。これについては別の機会に詳しく書きたい。

 
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 同一のネガで、色違いの顔料を使った作品を比較していただく。どちらも、チューブ入りの日本画用絵具を一色使用している。前に日本画の顔料は使いづらいと書いたが、簡便なチューブ絵具になっているものは、そのまま使えるものが多い。画面ではわかりにくと思うが、使用している絵具の彩度はほぼ同じある。見かけのコントラストはグレーのほうがやや強く感じる。私自身は、モノクロームプリントは黒が一番という主義で、銀塩なら温黒調/冷黒調などの色合いの違いが好きなのだ。しかし、せっかく色が自由に使えるカーボンプリントなのだから、このように同じ図柄の色を変えて楽しむこともまた、面白いとするのである。
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UV露光機の製作が進んだので続きをのせる。(その1)で、新作は合理化した作りにすると書いた。合理化と言えば聞こえがいいが、実のところ設計図もない適当な進行である。どんな作りかは、写真を見ていただければ十分おわかりになると思う。これから自作される方の参考になれば幸いである。

<本体の箱を作る>
 箱といっても簡単なものでよい。要は20W蛍光管が10本並んで収容できるものであれば、既製のものを利用してもよいだろう。私は内寸625×400㎜で高さ150㎜の木枠をまず作り、50㎜沈ませた位置に中底のように板を張った。板厚は全て12㎜である。製作記事は省略する。勝手ですみません m(><;)m


<蛍光管ソケットの取り付け>
 
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 まず、ソケット20個に電気コードを半田付けしておく。コードは一般のACコードでは太すぎるので5Aぐらいの電源用を使う。長さは、カットの余裕をみて50㎝と30㎝をそれぞれ10本である。
 L型アングルは、箱の内寸からみて395㎜に切断し、ソケット取付け用の穴を開けた。穴径は4㎜ビスを使うので4.2㎜である(3㎜ビスなら3.1㎜)。 穴の間隔が大切で、蛍光管をはめて並べたとき、管と管の間隔が適切に空くようにする。適切とは点灯時にムラの無いUV照射ができることである。これを私は7㎜としている。したがって穴間隔は、入手したソケットと蛍光管を使った実測となる。またこの写真にはないが、両端には木枠に固定するための木ネジ穴を開けた。

<電源ボードの作成>
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 インバータを組み込んだ電源ボードを作る。写真の茶色い板はベークライト製である。これは私に手持ちがあり使用したので、少し大きめである。役割としては、裸のインバータボードを並べて固定するためなので、アルミ板などを用いてもよいが、電気ショートには十分注意のこと。インバータボードは5㎜のスペーサーで浮かしてある。

<完成した電源ボード>
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 取付けと配線を終えた電源ボード。手前左下のピンにAC電源が付く。ボードの向こう側に各管からの配線が来る。

=== 今日はここまで ===
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 これまでの記事と順序が逆になった気がするが、ここで、カーボンプリントについて簡単に説明しようと思う。
 カーボンプリントは1860年代にイギリスにおいて技法が完成された。もともとは、他の写真法に見られるような変色(退色)が無く、耐久性のあるものを求めて研究されたようである。そのため、当初は最も耐光に優れ、耐久性のあるカーボン(炭素)が利用された。これが名前の元になっている。やがて色彩に変化をつけるため、各種のピグメント(顔料)も使用されるようになったのである。実際に制作された年代としては、19世紀後半から1930年代までといったところだ。耐久性と階調の良好さから、美術品の写真複製や図版の作成などに多用された。残念ながら日本での普及はほとんど見られず、当時の実物をみることはなかなかむずかしい。
 ところで、ピグメントといえば、ふつう画材店などで売られている粉末状の顔料をいう。カーボン粉末もその中に含まれる。この粉末をつかう他の技法としては、アンスラコタイプ、ダストタイプなどがある。また、ピグメントを各種の油性や水性のバインダーに練り込んだ、いわゆるチューブ絵具類も写真プリントに使われている。これには、ガムプリント、カーブロプリント、オイル(ブロムオイル)プリント、フォトグラビア等がある。そして、カーボンプリントは、これら粉末顔料も水彩チューブ絵具も、更に書道の墨汁さえも利用できるのだ。もちろん製品によっては不適当なものも存在するが、多様な色材を選べることは、カーボンプリントの楽しみのひとつといえる。
 さて、カーボンプリント技法の最大の特徴は画像の転写にある。たいていの写真技法は、一枚のベース(紙であれガラスであれ)の上にイメージを結像し、これを最終画像とする。つまり、ネガの有る無しは関係なく、感光(乳)材を塗ったベースがその後のプロセスを経て、そのまま鑑賞物となるわけだ。ただしフォトグラビアなどの製版印刷的なものは、技法的に別種である。これに対しカーボンプリントでは、ベース上に塗った感光材の上に、いったん画像(潜像)を形成し、この画像を更に別のベースに移し(転写)た後に最終画像とする、という一見複雑な過程をふむ。しかも、一度転写(假転写)したものを更に別のものに転写するという、複転写の手法もある。顔料の粒子はフィルム中の銀粒子などにくらべれば遥かに大きい。それにもかかわらず、カーボンプリントに豊かな階調と解像度を与えるものが、この転写という手法なのである。
 
次回からは、もう少し具体的に解説していく。

<興味ある方への参考文献>
「手作り写真への手引き」 荒井宏子著  写真工業出版社
「最新冩眞大講座9」  アルス
「Book of Modern Carbon Printing」 Dick Sullivan HonFRPS (PGI 取り扱い)
 A Primer on Carbon Printing  Sandy King
The Carbon Transfer Process Sandy King
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 14日に予告した20W×10のUV露光機の製作を始める。今日は使用する材料や部品について紹介する。

<インバータ電源ボード>
 初回と同様に大阪の東西電気産業の製品。この会社は小口の販売でもマニュアルをつけてくれて,大変に親切だ。直接100vAC入力でよいので便利。この写真の左側が入力、右側が出力。ただし配線用のピンは購入後私が立てたもの。
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TIA-10蛍光灯インバータ シリーズ
TIA-1020


<蛍光管>
 これも前回と同じ三菱オスラムの捕虫・光化学用というBLタイプの製品。UV波長360nmピーク。私は照明器具専門の通販店で購入した。他社製品でももちろんよいが、殺菌用は危険である。また、ブラックライトとよばれる蛍光管は、使ったことがないのでなんともいえないが、目視環境で使う物なので有効なUVはかなり弱いはずだ。
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三菱オスラム ケミカルランプ(捕虫用・光化学用)
 FL BL-360


<その他の材料>
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蛍光管ソケット20個
アルミL型アングル25×25
ベークライト板2t
アルミ板1t
木材、配線材、 (他にビスナット、ネジ釘、接着剤等)


※特別な工具は不要だが、日曜大工道具類の他は半田付け用具が必要。

====   今日はここまで   ====
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