<カーボンプリントの最大濃度とは>
モノクロームプリントの魅力のひとつに、シャドウ部の色がある。中でも深く沈潜するような黒の魅力に、私は引かれる。最暗部の濃度を上げることは、従来の銀塩プリントに限らず、オルタナテイブなプロセスにおいても重視されることである。そこで、カーボンプリントの最大濃度について考えてみたい。たとえばプラチナプリントであれば、ある現像結果で得られた最大濃度があるとしても、薬剤の工夫やベースとなる紙の選択等で、更に濃度を上げる可能性は残る。濃度やコントラストは、複数の化学的な変化の組み合わせに依拠するからである。それに対しカーボンプリントの場合には、ベース(印画紙)上の顔料(色粒)の集積度の差で階調を出す。具体的には、顔料を含むゼラチンの厚みの変化が濃度の変化(階調)となるのである。これは少し乱暴にいうと、一色の絵具を筆で塗ることに似ている。薄く塗れば淡く=明部、厚く塗れば濃く=暗部になる理屈である。したがって、ある一定以上はいくら塗り重ねても濃度が上がることはない。当たり前のことだが、つまりその絵具が持つ最大濃度以上は無理なわけである。これをカーボンプリントでいえば、ある顔料(色材)を選んで、カーボンティシュ(カラーティシュと呼びたいが)を作った段階で、得られうる最大濃度が決まってしまうということである。つまり、ゼラチンと顔料の混合物が上の説明の絵具に当たるわけだ。それでは、単に顔料の量が多ければ濃度が増してよいのかというと、そうではなく、実際にその顔料をゼラチン中にどれほど含ませるかは、コントラストのつきかたに関係するので、単純なことではない。
 コントラストについては、またいずれ書くことにする。

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26.5×16.5㎝ 墨液(赤茶系)使用
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 UV露光機作成の最終回である。前回までで本体の作成はあらかた終わった。今日は現場セットまで進めてしまおう。

<蛍光管のセットと点灯試験>
 UV管を取付ける。ピンを縦に差し込んで90度回転させる。間隔が7㎜しかないため、間に指が入らない。したがって端の管から、順番に付けていかなければならない。
  AC電源につなぎ点灯してみる。インバータのおかげで、瞬時に一斉点灯するのは気持ちよい。わずかのウオーミングアップで安定した。照度のむらもなさそうだ。
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<暗室にて稼働にセット>
 暗室に持ち込み使用状態にセットして撮影。前面の黒幕は巻き上げてある。本体は組み合わせ自由のパイプ棚を利用して浮かせ、上部には木板のふたをしてあるが、ふた周囲の隙間は、以前にも説明した熱気逃がしの穴である。
 下に置いてあるガラス付きの撮り枠は自作のバキュームイーゼル。露光機にあわせ大きくする必要があるので、いずれこの製作法も載せたいと思う。また、右下のボタン類のついた箱は、引き伸ばし機用の露光タイマーで、そのまま使えている。
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 以上で20W×10管のUV露光機の製作記事は終了とする。制作費は、手持ちの材料や、他の工作のための余分買いなどで積算はむずかしいが、蛍光管代を除いて総額4万円以内に収まっているようだ。
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 UV露光機の製作をつづける。今日は完成できるか。

<電源ボードの固定と配線>
 位置決めをした電源ボードを固定し、配線を完了した。ボード裏をコードが通るため、8㎜ほどスペーサーで浮かしてネジ止めしている。横に渡した細い棒は、配線のまとめと固定のための押さえである。また、ボード下から出てくるコードはUターンさせるので、これがないと基盤上のピンに負担がかかる。長い方のコードが不揃いに浮いていてみっともないが、どうせ蓋で見えなくなるし、要所は留めてあるのでこれでよい。
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<AC電源コードを付ける>
 差し込みプラグ付きAC電源コードを付けた。ボックスの横の適当な位置に穴を開けて通してある。抜け止めは絶縁テープを巻いて太くしただけである。また、前機では取り付けたヒューズボックスも無い。個々のインバータ基盤上にサーマルプロテクタ、ヒューズが内蔵されているので不要とした。更に電源スイッチの類も、引き伸ばし機タイマーに繋ぐので、これも省略した。
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<光源部内面に反射板を貼る>
 蛍光管の背面にあたる中底に1ミリ厚のアルミ板を貼った。以前の写真で分かるように、この下には横桟があって10㎜ほど浮いている。点灯時の発熱を、直接アルミから底板→電源ボードと移さぬようにと考えたためである。熱気は両袖の隙間と丸穴を通して、上蓋の気抜きから逃がす。もっとも下部が全開なのだし、一回の点灯時間が数分であれば、発熱による事故はまず無いことは経験でわかっている。側面のアルミは接着剤貼りをした。
 アルミ板がつや消しなのは、乱反射のある凹凸パターンの板が手に入らなかったため、細かい紙ヤスリをかけたからである。しかしどうも無駄な細工のようで、元々の鏡面でよかったと思われる。そもそもこれほど密に蛍光管を接して並べた場合、背面の反射板はあまり効果を持たないのではないかと思われる。側面も同様である。それでも無いよりは有った方が精神的にもよい!
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==あとは、上蓋となる板を取り付ければ完成である。その様子は次回。==
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 [カーボンプリントの技法を概説1]で紹介した「アルス最新冩眞大講座」(昭和10年発行)という本には、特殊印画法として五種類のプロセスが解説されている。その中のカーボン印画法中に、当時市販のカーボンティシュ(カーボン・チッチュと表記)のリストが載っている。前書きとして、『市販品の内、本邦にて多く使用されてゐるのは英國のオートタイプ社のもので次の如き色調のものがある。』とあり、そしてなんと37色の品名が挙げられているのである。その中には、アイボリー・ブラックやダーク・ブリュー、ヴァンダイキ・ブラウンなど、ほぼ想像のつく色もあるが、ポートレート・ブラウンやボットル・グリーン、サングインなどはいったいどんな色だったのか興味深い。とにかく、当時欧米では、カーボンプリントが盛んであったことがうかがえるのである。しかし一方、『自製することも出来るが、餘程多量に使用するのでなければ市販品を使用した方がよい』ともあるから、当時もカーボンティシュの作成は面倒とされていたのだろう。ともかく、今は叶わぬことといえ、そのオートタイプ社の「チッチュ」の色37色を並べて見てみたいものである。
 ところで、寒色系の作品ばかりが続いたので、暖色を見ていただく。私の初期の作なので、はっきりいって出来はよくない。それでも私にとって、初めて黒以外でプリントした記念の色である。
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  205×280㎜
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 露光機製作の続きを書く。前回は蛍光管ソケットの固定チャンネルを2本と、電源ボードを作成した。これから、それらをボックスに取り付けることにする。

<ソケットチャンネルの取付け>
■ボックスの中底の深い側に木ネジ止めした。この写真では見えないが、この中底の両端(チャンネルの下)
 には15㎜ほどの隙間が開けてある。この隙間は配線のためと、見えている丸穴と合わせて、熱気を逃がすた
 めの通気穴になる。
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■両側の取り付け完了。さらに中底の両端の隙間から、裏側にコードを廻してある。重要なことは、この状態
 で蛍光管が全管無理なく(がたつきもなく)セットできるように、位置調整することである。
 横向きに打ってある桟は、中央と上下が反射板を取付けるためのもの。他の二本は底板の補強材。
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■裏側の状態、コードをU字釘で固定した。裏側と書いてきたが、こちらが使用時には上面になる。この上に
 基盤が付き、更にその上に蓋板をかぶせる。
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■基盤位置を決めるために仮置きしてみる。ボックスの中央でもよいが、この位置でのコードの長さを決めて
 ある。基盤の出力ピンが内側である。
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== 今日はここまで ==
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