カーボンプリントの製作過程を撮影したYou-Tubeを見つけたので紹介する。アメリカの作家らしいが、ほぼ全工程を通して分かりやすく編集されている。カーボンプロセスは他の古典技法以上に、現代的な薬品や素材が取り入れられているようだが、この動画中にも転写紙の下処理にAcrylic Polymerなるものが使われていて興味深い。絵画で使うジェッソの類いであろうか。(粘着剤か?)
 ところで、ネット検索で「カーボンプリント」と入力すると、一番大量にかかるのがカーボンフットプリントというもので、次がカーボンプリントなのだが、しかしこれは『高級なカーボン繊維製品風に見えるプリント』のことなのだ。オルタナティブ写真仲間として、プラチナプリントやガムプリントなどに比べ、なんという話題のなさであろうか。だから「本家の」カーボンプリントの出現はきわめて「貴重」なのである。
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 私のように地方の田舎で写真をやっていると、オルタナティブ技法に必要な用品や材料、薬品等の入手に困ることが多い。従来の銀塩系の暗室用品さえ、どんどん店の片隅に追いやられている。都会(特に東京)などに比べて専門店が圧倒的に少ないということもあるが、たとえ専門店があったにしても、少し特殊なものは在庫しないのが普通であるから、取り寄せということになる。取り寄せてもらえるならまだ幸いであるが、扱っていない、の一言で断られることも多いのだ。店側としては、そんな名前も知らないようなものを、それも少量を手間かけて探して仕入れても商売にならないということだ。
 そんな状況を救ってくれるのがインターネットである。ネット上で販売対象となっている膨大な商品の中から必要なものを探し出し、注文すれば数日で手元に届く。この便利さはありがたい。それどころか、別のものを検索中に、たまたまこれは使えると思うものを発見して幸運なこともけっこうあるのだ。ただ、ものによっては、送料や手数料が商品価格を上回りそうになることもあり、また取り寄せてはみたものの、想像と違い無駄になったりすることも多々ある。店で手にとってたしかめられないことがうらめしくなることもあるのだ。それでも、ネット販売がなかったら私の楽しみは半減それ以下になっていたことだろう。一方、地方の商店にとって、頭の上をネット販売の商品が飛び交っている状況は、これでいいのだとはとても言えないことも確かである。地方特産品の販売などにインターネットが活用されていく傾向はあるのだが。
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# by blue-carbon | 2011-06-15 15:25
 以前カーボンプリントに適したピグメントがなかなか見つからない、と書いた。粒度の点で大きすぎたり不揃いだったりして、カラーティシュ(これは私の呼び方)化しづらい、というのが要旨だった。粒度がよければ色合いが悪い。色合いがいいのに重すぎて無理。といったふうで、実際に作品化するものは、やはり墨液かチューブ入りの水彩ガッシュ類が多くなってしまう。そんなわけで、常に使えそうな色材を探しているのだが、最近具合よさそうな顔料系の色材を見つけたので早速注文した。現在期待しながら到着を待っているところだ。どんな物かは試用の結果を見てお知らせする。
 ところで、ネット上で見かけて、これは!と一瞬胸が躍った絵具があった。ターナーの製品でジャパネスクカラーというチューブ絵具だ。一般に洋画でも日本画でも、絵具の単色は彩度の高いものが多い、複雑な色合いは混色や塗り重ねで作ることが当たり前だからである。それがこのジャパネスクカラーは、最初から実に深い色調で、十分に暗部を作れる濃度を持っているではないか。ところがよく見れば、残念なことにこれはアクリル系であった。乾燥すると耐水性に変わるアクリル絵具では、カーボンプリントは無理なのだ。落胆の瞬間であった。ターナー色彩株式会社さん、このジャパネスクカラーの水彩版を出してくれませんか。
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# by blue-carbon | 2011-06-10 23:48
 カーボンティシュはどれほどの厚みがあるのだろうか。画像を作るカーボン(顔料)は、カーボンティシュ上から剥ぎ取られる形でサポート紙に転写されるわけだが、最暗部であっても、カーボンティシュ上の100%が使われるわけではない。余裕のある未露光=未硬化層がなければ、その部分は転写時(カーボンティシュと印画紙の分離時)に破壊されてしまうからだ。ゆえにカーボンティシュ上に塗布される顔料(+ゼラチン)は、十分な厚みをもたせなければならない。技法書ではこの塗布厚を1㎜以上としていることが多いが、私は1.2㎜を最低厚としている。また、むやみに厚くしても現像時に無駄に流し去るだけであり不経済である。ティシュ上に塗布されたゾル状のゼラチンは、冷やす(固くなる、こわばるの意味でsetするという)とゲルとなり、次に乾燥してカーボンティシュができあがる。
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これがカーボンティシュの断面である。黒く見えているのが顔料で、上表面も黒いのだが、断面が見やすいように白く変えている。左右で厚みが違うが、右半部が乾いた状態で、左が水に浸けてゲル状に戻した状態である。実際にはこの右の状態で感光化し、ネガを重ねて露光する。現像時には転写紙が圧着されて温湯中に浸けられ、左のように膨張しながら未硬化部の溶解へと進むと考えられる。
 さて、その厚みであるが私の手元には1/100㎜精度のマイクロメータしかなく、またカーボンティシュの出来も毎回同一ではないから、あくまで参考とするにとどめたい。
 まず、断面下方の白線は紙で150μmである。これを含めて右250〜270μm、左700〜750μmであった。ゼラチンは1.2㎜厚に塗ったのであるから、ほぼ12分の1くらいに乾燥収縮したことになる。この厚さ100μmほどで、UVの感光度に応じた厚みを硬化分離するのであるから、なかなかどうして精妙な技法といえるではないか。
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 カーボンプリントにはもっぱらデジタルネガを作っている私だが、ついカメラもデジタルを使ってしまう。もちろんその方が都合がよいからだ。8×10やそれ以上のフィルムネガも試してみたいが、大判は4×5しか持たないので今のところ実現していない。あるとき、家の保管箱の中から、いつ手に入れたのかも覚えていないレンズが出てきた。古いスプリングカメラについていたらしい、compurシャッター付きのTessar2.8fだ。7.5㎝なので6×6判あたりと思える。そこで思いついた。このレンズを4×5カメラに付けてフィルムネガを作り、カーボンプリントすれば、名目上はオール古典技法ではないか。イメージサークルからして古典の雰囲気が漂うはず。などと、勝手に思い込んでやってみた。結果は(絵柄は無視して...)ネガ作りとプリント処理の相性が不足、といったところ。しかし面白い、またやってみよう。スキャンしてデジタルネガでも。
 
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画像部9.3×9.3㎝
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