2011年 05月 30日 ( 1 )

<カーボンプリントの最大濃度とは>
モノクロームプリントの魅力のひとつに、シャドウ部の色がある。中でも深く沈潜するような黒の魅力に、私は引かれる。最暗部の濃度を上げることは、従来の銀塩プリントに限らず、オルタナテイブなプロセスにおいても重視されることである。そこで、カーボンプリントの最大濃度について考えてみたい。たとえばプラチナプリントであれば、ある現像結果で得られた最大濃度があるとしても、薬剤の工夫やベースとなる紙の選択等で、更に濃度を上げる可能性は残る。濃度やコントラストは、複数の化学的な変化の組み合わせに依拠するからである。それに対しカーボンプリントの場合には、ベース(印画紙)上の顔料(色粒)の集積度の差で階調を出す。具体的には、顔料を含むゼラチンの厚みの変化が濃度の変化(階調)となるのである。これは少し乱暴にいうと、一色の絵具を筆で塗ることに似ている。薄く塗れば淡く=明部、厚く塗れば濃く=暗部になる理屈である。したがって、ある一定以上はいくら塗り重ねても濃度が上がることはない。当たり前のことだが、つまりその絵具が持つ最大濃度以上は無理なわけである。これをカーボンプリントでいえば、ある顔料(色材)を選んで、カーボンティシュ(カラーティシュと呼びたいが)を作った段階で、得られうる最大濃度が決まってしまうということである。つまり、ゼラチンと顔料の混合物が上の説明の絵具に当たるわけだ。それでは、単に顔料の量が多ければ濃度が増してよいのかというと、そうではなく、実際にその顔料をゼラチン中にどれほど含ませるかは、コントラストのつきかたに関係するので、単純なことではない。
 コントラストについては、またいずれ書くことにする。

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26.5×16.5㎝ 墨液(赤茶系)使用
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