2011年 05月 25日 ( 1 )

 [カーボンプリントの技法を概説1]で紹介した「アルス最新冩眞大講座」(昭和10年発行)という本には、特殊印画法として五種類のプロセスが解説されている。その中のカーボン印画法中に、当時市販のカーボンティシュ(カーボン・チッチュと表記)のリストが載っている。前書きとして、『市販品の内、本邦にて多く使用されてゐるのは英國のオートタイプ社のもので次の如き色調のものがある。』とあり、そしてなんと37色の品名が挙げられているのである。その中には、アイボリー・ブラックやダーク・ブリュー、ヴァンダイキ・ブラウンなど、ほぼ想像のつく色もあるが、ポートレート・ブラウンやボットル・グリーン、サングインなどはいったいどんな色だったのか興味深い。とにかく、当時欧米では、カーボンプリントが盛んであったことがうかがえるのである。しかし一方、『自製することも出来るが、餘程多量に使用するのでなければ市販品を使用した方がよい』ともあるから、当時もカーボンティシュの作成は面倒とされていたのだろう。ともかく、今は叶わぬことといえ、そのオートタイプ社の「チッチュ」の色37色を並べて見てみたいものである。
 ところで、寒色系の作品ばかりが続いたので、暖色を見ていただく。私の初期の作なので、はっきりいって出来はよくない。それでも私にとって、初めて黒以外でプリントした記念の色である。
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  205×280㎜
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