カーボンティシュの厚みについて

 カーボンティシュはどれほどの厚みがあるのだろうか。画像を作るカーボン(顔料)は、カーボンティシュ上から剥ぎ取られる形でサポート紙に転写されるわけだが、最暗部であっても、カーボンティシュ上の100%が使われるわけではない。余裕のある未露光=未硬化層がなければ、その部分は転写時(カーボンティシュと印画紙の分離時)に破壊されてしまうからだ。ゆえにカーボンティシュ上に塗布される顔料(+ゼラチン)は、十分な厚みをもたせなければならない。技法書ではこの塗布厚を1㎜以上としていることが多いが、私は1.2㎜を最低厚としている。また、むやみに厚くしても現像時に無駄に流し去るだけであり不経済である。ティシュ上に塗布されたゾル状のゼラチンは、冷やす(固くなる、こわばるの意味でsetするという)とゲルとなり、次に乾燥してカーボンティシュができあがる。
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これがカーボンティシュの断面である。黒く見えているのが顔料で、上表面も黒いのだが、断面が見やすいように白く変えている。左右で厚みが違うが、右半部が乾いた状態で、左が水に浸けてゲル状に戻した状態である。実際にはこの右の状態で感光化し、ネガを重ねて露光する。現像時には転写紙が圧着されて温湯中に浸けられ、左のように膨張しながら未硬化部の溶解へと進むと考えられる。
 さて、その厚みであるが私の手元には1/100㎜精度のマイクロメータしかなく、またカーボンティシュの出来も毎回同一ではないから、あくまで参考とするにとどめたい。
 まず、断面下方の白線は紙で150μmである。これを含めて右250〜270μm、左700〜750μmであった。ゼラチンは1.2㎜厚に塗ったのであるから、ほぼ12分の1くらいに乾燥収縮したことになる。この厚さ100μmほどで、UVの感光度に応じた厚みを硬化分離するのであるから、なかなかどうして精妙な技法といえるではないか。
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