カーボンプリントの技法を概説2

 今日はカーボンプリントのプロセスを、ごく簡単に説明したい。もしこれを読んで興味をお持ちになったら、今後も技法に関したことを綴っていくので、つづけてご覧いただきたい。また、自分でもやってみたいと思われたら、先に上げた図書やHPを活用なさることをお勧めする。(ただし、アルスの本は入手困難と思う)
 さて、次の写真を見ていただきたい。
b0229474_19581233.jpg

①はカーボンティシュとよばれる紙である。ティシュとはtissueで薄紙のこと。
 その上にカーボン(顔料)をゼラチンに溶いたものが厚く塗られている。実際には紙自体もそれほど薄いも
 のではない。
②はフィルムネガティブ。密着プリントなので等倍のネガが必要である。これはインクジェットで作ったデジ
  タルネガ。
③は画像を転写させる紙、一度の転写(単転写)で済むなら、これが仕上げのベース(final support)になる。
  ①との接着をよくするため、ゼラチンをコーティングしてある。私は未経験だが、ガラスでも可能。
④は③の上に得られる最終イメージである。

 <作業の手順>
  1. カーボンティシュを必要な大きさにカットする。←3の乾燥の後でもよい
=以下は低照明下で行う=紫外線が出ない白熱灯なら、新聞が読める程度の明るさでよい。
 2. ティシュに二クロム酸カリあるいは二クロム酸アンモニウムで感光化する。←浸漬あるいは筆塗り
 3. 感光化したティシュを乾燥させる。←強制乾燥なら冷風程度で
 4. ティシュの上にネガを重ね、取り枠にセットする。←ネガの乳剤面を接する
 5. UV照明をあて、ゼラチンを硬化させる。→ネガの濃淡に応じた硬化がおきる
 6. バットに15℃以下の冷水を用意する。
 7. カーボンティシュより大きめの③のベース紙を用意する。←必ず大きさに十分余裕をみること
 8. 冷水中にティシュとベース紙を浸け、乳剤面どうしを合わせる。←気泡が入らぬよう注意
 9. 両者を張り合わせたまま引き出し、厚板ガラスなどの平滑な台の上に置く。
10. スクィージで強く擦り、合わせ面の水分を排除する。←全面を一度に擦れること
11. そのまましばらく(15分以上)放置して癒着を待つ。←上にガラス板を置き重しを載せてもよい
12. 温水(43℃)程度をバットに用意する。←実温度は①のゼラチンの溶融条件による
=以下は明るくしてかまわない=
13. 癒着したティシュとベース紙を温水に浸け、しばらく(数分)待つ。
14. ゼラチンが十分軟化したら、水中で両者を静かに剥がす。→カーボンティシュは捨てる
15. ベース紙を静かに揺すりながら、余分なカーボンを溶かし落とす。←必要なら温水を交換
16. 十分に現像したら引き上げ、水分を切る。←拭いたり触ったりはできない
17. 吊るすか水平に置くかして乾燥させる。←温風乾燥はしない
18. 完成→波打っている場合は冷温プレス

 以上がごく基本的な作成手順である。文字にすると、これでも煩雑に見えるが、実際の作業としては比較的単純なものである。もちろん、個々のプロセスでのパラメータや技術要領は必要であり、作者それぞれのノウハウがある。
 実はカーボンプリントでもっとも大切で、かつ難しいことは、良質のカーボンティシュを作ることなのだ。これについては別の機会に詳しく書きたい。

 
[PR]